夜の9時
古本屋さんで立ち読み
結構夢中になってたから
ヘッドホンからの音楽も殆ど聞こえてなかった
誰かが本棚の横を通っていった
心臓が飛び跳ねた
周りの音も聞こえないくらい夢中になってたのに
何故気づいてしまったんだろう
服の色くらいしかわからないくらい一瞬だったのに
気になってしょうがなくて
本人でないことを祈って
本人であることを期待して確認した
最後に見たあいつと同じだった
でも髪は最後に見た時よりも少し短くなっていた
勿論話しかけはしなかった
私は諦めたんだから
でも髪を切ったことは気づいてほしくて
お前が好きだって言った髪型はやめてんだって
あのメールを最後にお前を諦めたんだよって知ってほしくて
ちょっとあいつから離れた場所で本を読んでみた
気づいてもらえたかはわからないけど
確認することなんてできないけど



早く春になってほしい
早く此処から離れたい